2020年12月18日、「ビジネスを『賢人』から学ぼう」をキャッチコピーに、オンラインで開催された「SHIFTゼミナール」。そのなかで行われた「チェンジ」の代表取締兼執行役員社長 福留大士さんと丹下の密談。「えっ、そこまで話してもいいの!?」と思うような話が満載! そんな密談のポイントをまとめ、前編と後編にわけて大公開します!!
どんな「密談」が行われたのか!? まとめはこちら!
丹下による福留さんの紹介
- 丹下がまず「飛ぶ鳥を落とす勢い」と福留さんを紹介し、対談スタート
- なかなか登壇することが少ないという福留さん
- 今回の密談は、福留さんの話を聞ける貴重な機会
- 最初の話題は、設立当初のチェンジについて
- 丹下が「創業メンバーは5人で、そのメンバーで株を持ち合いながら上場時に3億円を調達した」とチェンジに関して紹介
- 上場時に行っていた事業は、デジタル人材の育成とテクノロジーを活用した生産性の向上
- 「いわゆるBtoBのコンサルですね」と福留さん
丹下からの質問:チェンジを設立した際、なぜBtoBのコンサルを事業として選んだのか?
- 「(BtoBのコンサルは)いい意味でいろいろな会社がやっている」と丹下
- 前職のアクセンチュアを辞めて、なぜ福留さんはその事業をはじめたのか丹下が質問
<<福留さんが人材育成をはじめた経緯>>
- 福留さんは前職を辞めた後、産業再生機構の下請けをやっていた
- 主な事業は赤字会社の立て直し
- 立て直しをいろいろやっているうちに、大切なのは「人」だと思ったという福留さん
- そこで「人の育成をやろう」と決断し、人材育成の事業をスタートさせた
- 「IT業界のBtoB向け人材を育てることが得意だ」と福留さん自分自身が思っていたことも、人材育成をはじめた理由
丹下からの質問:人材育成をはじめた当初、どんな事業内容だったのか?
- 福留さんが当初行っていたのは、プロジェクトの実務ができる人材の育成
- お客様にどうヒアリングし、その結果をどう業務フローに落とすのか、仕様書や提案書の書き方なども教育していた
- 「議事録の書き方まで教えていました」と福留さん
トンネル点検アプリ開発からITビジネスを本格化
丹下からの質問:ITを手がけるようになったのはいつか?
- チェンジでは教育事業の売上は現在10億円、20億円がIT関連
- ITをやりはじめたきっかけは「2010年ぐらいにAppleと手がけたプロジェクト」と福留さんが説明
- それはiPadを普及させるというプロジェクト
- 当時は、クラウドやモバイルなど、新しいIT技術が出てきていた時代
- しかし、プロジェクトが小さく、儲からないという理由でSIerが手をつけていなかった
- そこで福留さんはモバイルのアプリケーションをつくり、特定の業務に適用させ、生産性を上げることを開始
丹下からの質問:当時、思い出深いプロジェクトは?
- 「東京メトロのトンネル点検アプリの開発」と福留さんは即答
- このプロジェクトはAppleのアメリカ版Webサイトにも掲載されているプロジェクト
- トンネルの点検は終電後から始発までの間に実施される
- 毎日、人が1~2kmぐらいトンネルを点検
- 当時、検査員は、点検結果を手書きで記録し、事務所に帰ってからシステムに入力していた
- 点検したデータをクラウドに飛ばし、クラウドにたまったデータを解析するまでを自動化すれば、生産性が上がると福留さんは判断
- その実現までを福留さんが担当した
- 福留さんが開発したアプリは、写真、位置情報、点検結果をデジタルで記録できるようにしたもの
- 「プロジェクトは非常にうまくいきました」と福留さん
丹下からの質問:トンネル点検アプリを成功させるまでに障壁はなかったのか?
- プロジェクトオーナーがもともと「iPadをつかって、オシャレに仕事をさせたい」と言っていた
- そのため、アプリに対しては好意的
- 唯一の誤算は、当時のビーコンの精度が低かったこと
- 場所がずれてしまうため、ビーコンの調整には苦労した
丹下からの質問:上場するまでの約6年間、どんなプロジェクトをしてきたのか?
- モバイルやAI、データサイエンスなど、マーケットが成熟していないPOC(Proof of Concept)のマーケットを相手にしてきた
- それを聞いて丹下が「当時のエンジニアの数は?」と福留さんに質問
- 「当時は30人ぐらいですかね」と福留さん
- コンサルも含めて、3,000万円ぐらいがプロジェクトの平均的な売上だった
ふるさとチョイスのビジネスモデルに驚愕
丹下からの質問:ふるさとチョイスを展開するトラストバンクとの出会いは?
- 「ふるさとチョイス」を展開するトラストバンクをチェンジはM&Aした
- 丹下はトラストバンクの創業者である須永珠代さんをよく知っている
- そんなトラストバンクとチェンジはどう出会い、M&Aに至ったのかその経緯に迫る丹下
<<トラストバンクと出会った経緯>>
- チェンジには、データサイエンスチームがある
- M&A前、データサイエンスチームがトラストバンクの「ふるさと納税の経済効果分析プロジェクト」の受託を希望
- そこで、そのプロジェクトをトラストバンクから受託
- データサイエンスチームが、自治体においてふるさと納税が域内GDPにどれだけ貢献したのか解析・レポートをした
- 受託をした2017年当時、トラストバンクはもともとチェンジのクライアント
<<驚愕した、ふるさとチョイスのビジネスモデル>>
- とある市役所で、稼働資産をすべて棚卸するプロジェクトがあった
- 棚卸したなかで突出して安いシステムを発見
- 安いシステムとは、ふるさと納税管理システムであり、45,000円と書いてあった
- このシステムが気になった福留さん
- その内容を確認すると、システムはふるさとチョイスであり、成功報酬だったことが判明
- ふるさとチョイスは、どれだけ寄付額を集めたかにより、そのパーセンテージで報酬をもらうビジネスモデルだった
- 自治体のふるさと納税管理システム以外のシステムは全部入札で、SaaS型のビジネスはほとんどない
- 約8年ぐらい前からASP、SaaSと言われていて、標準化したものをサービスとしてつかうようにと総務省が自治体に伝達していた
- しかし、一つひとつの自治体がスクラッチでシステムをカスタマイズして開発していたのが実情
- ふるさとチョイスは、1,500を超える自治体に利用され、成功報酬モデル、かつ入札ではなく随意契約
- 「こんなIPサービスがあるんだ」と驚いたという福留さん
<<トラストバンクに新規事業を提案>>
- ふるさとチョイスのビジネスモデルに驚愕した福留さんは、自治体の顧客基盤に対してSaaSのビジネスをトラストバンクに提案
- ふるさと納税の周辺からどんどん広げていくようなソフトウェアのビジネスをやらないか、といった新規事業の提案だった
- ところが、トラストバンクよりお断りが…
- 「新規事業を担当する人材がいない」というのが断られた理由
- しかし、チェンジからの提案はトラストバンクの記憶に残るものに
- その後、須永さんが会社を譲るとき、チェンジに声がかかった
- そして、チェンジがもっとも高く入札
時価総額80億円のトラストバンクをM&A
丹下からの質問:トラストバンクをM&Aしたとき、チェンジの売上は?
- 2018年11月にトラストバンクをM&A
- そのときのチェンジの売上は26億円、営業利益は5億2,000万円
- 当時のふるさとチョイスの時価総額80億円
- チェンジの当時の時価総額は300億円ほど
- 「銀行に聞いたら50億円までは貸してくれるということだったので」と福留さん
- その50億円でトラストバンクの株式を60%まず取得
<<トラストバンクの株式を100%取得するまでの経緯>>
- 「なかなかPMIがうまくいかない時期があった」と福留さんが回想
- しかし「絶対うまくいかせます」という意味合いを込めて追加で株式を10%取得して70%に
- 最後の30%は株式交換
丹下からの質問:福留さんはトラストバンクをグループにして、どんなことをしたかったのか?
- 福留さんがトラストバンクを買収したとき、トラストバンクの営業利益は11億円あった
- しかし、子会社化して1年目の決算時、営業利益は5億円に半減
- 「なぜ?」と丹下が福留さんにさらに質問
- 「ふるさと納税のビジネスが過渡期で、厳しい時期にさしかかっていた」と福留さんが回答
- 「ふるさとチョイスでキャッシュを生み出し、自治体向けのSaaSビジネスに再投資する」というのが福留さんのビジョンだった
- それが崩れてしまったので、ふるさとチョイスのサービスを立て直すことに
丹下からの質問:トラストバンクの売上も半減したのか?
- 「売上は半減していない」と福留さんは質問に回答
- 当時のトラストバンクの売上は60億円
- 広告宣伝費もかさんでおり、「コストコントロールができていなかった」と福留さん
自治体の業務をデジタル化するポイントは4つ
丹下からの質問:ふるさとチョイスのビジネスモデルは変わっていないのか?
- ビジネスモデルは変えている
- 手数料は高くなったが、何パターンかあったものを一律5%にした
- 丹下からさらに質問「この5%で収益がでるようになったということですか?」
- 「そうですね」と福留さんは回答。広告もコントロールするようになった
- いまようやくSaaSのビジネス(チャットのサービス)を開始し、1年が経過
- このビジネスをいっきに立ち上げ、うまくいった
<<自治体をデジタル化するポイント>>
- 自治体の業務をデジタル化するポイントは「紙」「電話」「ハンコ」「現金」
- 上記4つをどうデジタル化するかが勝負
- 「紙」「電話」「ハンコ」「現金」をなくすためのツールをガンガン用意しようとしている
- その一つがチャットであり、そのようなSaaS製品を用意している最中
- 「けっこうたくさんの自治体にサービスが入りましたよね」と丹下
- 自治体が1,788あるうち、600近い自治体にサービスが入っている ※2020年12月18日時点
丹下からの質問:ふるさと納税のサービスが自治体に入っていても、新規のサービスを導入してもらうのは難しいのでは?
- 福留さんは「そうですね」と賛同しつつ、さらにトラストバンクについて言及
- トラストバンクは自治体とのリレーションが非常に強い
- トラストバンクの地域に対する「愛」が半端ない
- 丹下も「すごい自治体から愛されていますよね」
- 「地域をよくしようとするサービスを展開したい」という志があるので、みんな注目してくれる