2020年11月20日、「ビジネスを『賢人』から学ぼう」をキャッチコピーに、オンラインで開催された「SHIFTゼミナール」。今回の密談も注目です! BASEの代表取締役CEO 鶴岡裕太さんと弊社社長 丹下の対談が実現。さまざまな話が聞けた貴重な対談のポイントを前編後編とわけて大公開します! ぜひご覧ください。
どんな「密談」が行われたのか!? ポイントはこちら!
期待が高まるなか密談スタート!
丹下からの質問:いま何歳になのか?
- 丹下から年齢を聞かれ、「30歳になりました」と鶴岡さんが返答して対談がスタート
- 丹下と歳の差は16歳
- 「丹下さんの世代は経営者の方が多いですよね」と鶴岡さん
- 鶴岡さんから見ると、丹下の世代は元気な世代
- 30歳は丹下が起業した年齢
- 「(同じ30歳で)上場もされてすごですね」と丹下は感心
- そして、時価総額の話題へ
丹下からの質問:現在の時価総額は?
- BASEの時価総額は2,000億円 ※2020年11月20日時点
- 「期待をしていただいて、ありがたい」と鶴岡さん
- SHIFTゼミナールの開催日が11月20日。ちょうど8年前のこの日に、サービスをリリースした
- そのころから鶴岡さんは「うまくいく!」と繰り返して、VCに資金を提供してもらってきたとのこと
- そのため、心境は以前と変わっていない
ロングテールの人たちにサービスを提供したい
丹下からの質問:サービスをリリースする以前、鶴岡さんは何をしていたのか?
- 大学生だった鶴岡さんはCAMPFIREでエンジニアインターンをしていた
- 本当はCAMPFIREに入社したかったが、希望は叶わず
- そのころのCAMPFIREで、丹下は自身が手がけている香りのデバイス「Scentee」のクラウドファンディングを実施した
- 鶴岡さんは当時在籍していた可能性が高く、Scenteeをよく覚えているとのこと
<<CAMPFIREとの関係>>
- CAMPFIRE 代表取締役の家入一真さんには、BASEの設立当初から資金など応援してもらっている
- 最近、CAMPFIREと資本業務提携をした
- それを丹下が聞き「いい関係ですね」
- 鶴岡さんはCAMPFIREの思想が好き
- その想いが潜在的にあり、BASEをつくっている
- 現在もなおCAMPFIREのプロダクトが好き
- だからこそ「いっしょにやらせてもらえませんか」という話を鶴岡さんがもちかけ、資本業務提携という流れになった
丹下からの質問:CAMPFIREと組んだ真意は?
- 個人、スモールチームに対して、Webプロダクトをつくることが鶴岡さんは好き
- ECのプラットフォームは、お店を一人でやっている人から大企業まで、利用している人たちは幅広い
- BASEはグローバルに見てもトップクラスのロングテールのEC作成サービスをつくっている
- よく「さらに上にいかないんですか」と言われるが、そこに鶴岡さんは興味がない
- 一般的に、GMV(流通取引総額)を追うと大手の加盟店がほしくなる
- しかし、インターネットでプロダクトをつくるなら、ロングテールの人たちにサービスを提供したい
- そういう点もクラウドファンディングと考え方が近かったため、CAMPFIREと組んだ
開発の判断基準は、母親が使えるか使えないか
丹下からの質問:BASEのアイデアはいつからあったのか?
<<PayPalのようなサービスを>>
- 鶴岡さんがCAMPFIREでインターンをしていたとき、PayPalに触れてすごいと感じていた
- PayPalは世界で利用されているが、日本ではまだまだ
- 当時、PayPalをつかえるエンジニアが少数
- PayPalのようなサービスがかっこいいと思っていたことがアイデアのひとつになった
<<BASEを開発する大きなキッカケ>>
- 鶴岡さんの実家は大分で婦人服のお店をやっている
- お母さんが「ネットショップでものを売りたい」と話していた
- 大手ECサイトを鶴岡さんがすすめたところ、「お金がかかるし、むずかしそう」とお母さんから返答が
- インターネットにあまり詳しくない人がネットでお店をつくりたいと思っている
- しかし、そういう人たちが利用できるサービスはない
- そこで鶴岡さんがつくったのが「BASE」
- 当時、使用した言語はPHPだったとのこと
丹下からの質問:BASEを開発したのはいつだったか?
- BASEは2012年8月からつくりはじめ、11月20日にリリースした
- 開発期間は3~4ヶ月
- デザイナーにロゴをつくってもらったり、エンジニアに手伝ってもらうことはあったが、基本的には一人で開発
丹下からの質問:開発した当初は何を思い、BASEのどの機能に絞って開発を進めたのか?
- 鶴岡さんがBASEをつくる前は、EC作成ツールと決済ツールは別々なのが一般的
- それをワンサービスとして提供することが、当時は新しい概念になった
- 決済自体を密に組み込むことを、開発のひとつのキーに
- そして、いまでこそ当たり前だが、モバイル対応も重要な要素にした
- 鶴岡さんのお母さんがパソコンをもっていなかったことも、モバイル対応にした理由
- 「その時点でモバイル対応をせざるを得なかった」と鶴岡さん
- BASEの開発ですべての判断基準にしたのは、鶴岡さんのお母さんが使えるか使えないか
- 開発当初、機能をつくり込んだが、最後のチェックで「これ、お母さんは使えないよね」と出さなかった機能は何個もある
一番大切にしていることは、機能を詰め込み過ぎない
丹下からの質問:UI/UXをつくるうえで、どこをポイントにしているのか?
- 鶴岡さんが話した判断基準は「UI/UXをつくるうえでも、キーワードになる気がする」と丹下
- 鶴岡さんが話したことは、やりたいけどやれないのが現実
- UI/UX に関して3タップでオーダーできることを、丹下は社内で大切にするよう伝えている
- そのうえでUI/UXのポイントについて鶴岡さんに迫る丹下
<<鶴岡さんが大切にしていること>>
- BASEの場合、商品を登録してもらうことが最初のステップ
- コアな機能から順番に進んでもらえるようにしている
- 一番大切にしているのは、機能を詰め込み過ぎないこと
- BASEというページと拡張機能が並ぶBASE Appsというページがある
- BASEで提供している基本機能は、8年間ほぼ変わっていない
- 本当は機能を開発してどんどん投下したい
- しかし、新規機能はオプトイン型にしている
- すべて外に置いて、インストールしたい人がインストールする仕組み
- BASEの場合、管理画面はつねに初心者のためにあるページとして維持している
- 新しい機能を追加しまくることが一般的
- しかし、機能を追加すればするほど初心者向きという概念から遠ざかってしまう
- いまからネットショップをはじめたい人のための機能を、いかに維持できるか
- この考え方は、ずっと大切にしている
- そのためBASEのデフォルト機能が増えることはほぼない
<<維持することの重要性>>
- 売上が高い加盟店のための機能をいっぱいつくりたくなる
- そうすると規模の大きな加盟店しか使えない管理画面に
- このような偏りのある状態になると、次世代のECプラットフォームが生まれてきてしまう
- ネットプロダクトをつくる以上は、新規ユーザーが喜んで使ってくれる構造を維持しつづけることが重要
丹下からの質問:最初に開発したころから、デフォルトの機能のイメージがわいていたのか?
- BASEには、商品を登録する、ショップの見せ方を変える、お金を引き出す。開発当時からこの機能しかない
- 100万店舗あったら100万店舗全部が使う機能を最初に詰め込んだ
- 100万店舗中5万店舗しか使わない機能は、デフォルトの機能に入れない
- かつ鶴岡さんのお母さんが使えるインターフェイスや情報設計か意識してきた
丹下からの質問:BASEを開発してきて、参考にしたものはあるのか?
- 「BASEをつくるために類似サービスをいっぱい見ることはなかったです」と鶴岡さん
- そもそも鶴岡さんはインターネットが大好き
- そのため、世の中にあるいろいろなプロダクトはさわっていた
- だからこそ、類似サービスを見なかったということもある
- BASEの場合は、ロングテールのためにつくりつづけることは最初から意識していた
- 基本的にはそれだけ
BASEを攻撃してきた人が社員第1号
丹下からの質問:なぜ、BASEという名前にしたのか?
- 「BASE」という名前は「経済活動の拠点となれるように」という願いの「拠点」から連想した
- 「誰でもインターネット上に自分の経済活動の拠点をつくれますように」という想いが込められている
- BASEは一般ワードのためSEOは大変…
- しかし検索ボリュームは多く、覚えやすい
- 社名は独自ワードにした方がいいのは理解していたが、あえて短い一般名称でいきたかった
- この話を聞き、丹下は「最初からビジョンがしっかりしているなあ」
丹下からの質問:BASEをローンチした直後は、どうだったのか?
<<何もアドバイスをしないことを徹底>>
- 鶴岡さんはお母さんのためにBASEをつくったこともあったため、「ローンチする前に、お母さんにさわってもらったの?」と丹下は興味津々
- しかし、ローンチ前に鶴岡さんはお母さんにサービスをさわってもらうことはしなかった
- ローンチ後にお母さんにさわってもらったが、何もアドバイスしないことを徹底
- 使い方を教えてしまったら、BASEの使いやすさがわからない
- お母さんは自分でショップをつくることに成功
- 鶴岡さんはうれしかったとのこと
<<YahooのTOPページにも掲載>>
- BASEローンチ後、たまたまメディアにとり上げられた
- YahooのTOPページにも掲載
- BASEを設立する前、CAMPFIREの家入さんと学生の学費を集めるクラウドファンディングサービスをつくった
- このサービスが平等ではないとの理由で炎上…
- ネットメディア向けに小さな謝罪会見も実施
- この会見のとき鶴岡さんはメディアの対応をしていた
- そこで知り合った新聞社が、BASEについて記事を書いてくれ、その記事がYahooのTOPに
- 「サービスをつくるとき、起業するときは、産業の中心にいてインターンするなりしないと。中心にはパワーがあるから、いろいろとはやいよね」と丹下
<<ローンチ直後のエピソード>>
- 最初、BASEは月1,000円のレンタルサーバーでつくっていた
- しかし、ローンチした初日から1,000ショップできて、さばけない状態に
- 鶴岡さん曰く「自分はダメダメエンジニアで、最初は見てくれだけ整えていた」
- そのため、BASEにいくつものトラブルが発生
- そういう状況を見て、助けてくれる人が増えた
- 結果、いい方向に
<<興味をもっている人にTwitterでガンガン連絡>>
- BASEはあえてモールにしなかった
- なぜなら、モールの力ではなく、お店自身が集客する時代がくると思っていたから
- いまでこそDtoCが出てきているが、ローンチした当時はモールがないことがおかしいと思われていた
- BASEにブルートフォースアタックされてデータを読みとられ、勝手にモールをつくられる事態にまで発展
- 攻撃する人に「BASEはそれに耐えられないので、いっしょにつくってもらっていいですか」と連絡
- 攻撃していた人が千葉から会いにきて即入社することに
- その後も攻撃する人などBASEに興味をもっている人にTwitterでガンガン連絡
- そのような方法で仲間を増やしていった
- この採用の方法に「いまどきっぽいし、インターネットっぽい」と丹下
- 当時、鶴岡さんは大学生。そのためSNSをフル活用したとのこと
資金調達について何もわからなかった
丹下からの質問:集客を意識する以前にまずショップをつくりたいというニーズが、BASEを利用するユーザーにはあったのか?
- モール型は集客してくれるから、そこにショップを構える
- BASEで簡単にショップをつくることは可能
- しかし、ユーザーはその後の集客方法を意識するはず
- そう丹下は話し、上記の内容を鶴岡さんに質問
<<BASEを利用するユーザー>>
- BASEを利用するユーザーは、すでに顧客をもっている人たちが多い
- リアルなショップで固定客がついているユーザーはもちろん、ファッション系のTwitterやブログなどで、フォロワーがついているユーザーも多く利用している
- 鶴岡さんはBASE開発前、SNSなどのフォロワーがついているユーザーがものを売る時代がくると推測
- そのためモールをつくらず、ストアフロントだけにした
- BASEはロングテールで個人・スモールチーム向け
- しかも集客をしないため、最初は資金調達の面でもとても大変だったとのこと
丹下からの質問:開発した当初の基本機能だけで、どれくらいサービスをつづけたのか?
- 「BASEは、基本機能だけで数年間サービスを行った」と鶴岡さん
- 送料の設定ができるようになったのは、サービスをローンチして1年後と回想
- インフラ面や決済面の強化に工数をずっととられていた
- 「資本金はどうしたんですか?」と丹下が質問
- BASEは2012年11月にサービスをローンチして、12月に起業
- そのタイミングで家入さんやVCのイーストベンチャーズから出資があった
<<最初は人任せだった資金調達>>
- 最初の資金調達について、さらに鶴岡さんが言及
- 大学生だった鶴岡さんは、資金調達について何もわからなかった
- そこでイーストベンチャーズの松山太河さんに「資金調達したいです」と相談
- さらに松山さんにディールを考えてほしいと依頼
- 「『バリュエーションもいくらでもいい』と言った」と鶴岡さん
- 「10年後、自分が困るかたちにだけしないでほしい」とだけ注文
- そして、3,000万円という金額を投資してもらった
- バリュエーションは2億円
- 当時、在籍していたのは大学生の鶴岡さんのみ
- サービスはあるが、会社もできていない状態だった
- 鶴岡さん曰く「いま考えてもハイバリュー」