大の視点/日本のサブカルチャー文化の本質

  • facebook
  • X
  • hatena bookmark

SHIFTのみなさん

おつかれさまです。今日は新聞記事きっかけの発信です。

ダイソン、とても好きな会社です。イギリスの会社です。
ダイソンは、産業革命を興し、世界の海を制したイギリスで生まれたメーカー。
株式会社という仕組みをつくったのもイギリスですね。

モノづくりというイメージからかけ離れたイギリスから
世界を魅了する製品が出ているという事実が、僕には興味深い。

いつも思うのですが、かつてはインド・インダス文明などが世界の中心だと言われ、
その後ローマ帝国、大英帝国と世界の中心が変わっています。

その後、大英帝国から独立したアメリカ合衆国が世界を席巻してきましたね。
しかしアメリカという国も崩壊してドル安がおき、今や国よりも企業が中心の世界になってきました。

いつも思うのは、かつては栄華を極めた国もいずれ衰退し、英国のアフタヌーンティーやスーツ、イタリアのパスタやオペラ、
フランスの食事やファッションのように文化だけが残り、近代人を気取っている国柄になっていくのかなということです。

日本でも、かつては都だった京都から首都が東京に移り、京都にはお寺や舞子さんなどという文化だけが残っていますよね。

日本もアメリカも、これから中国やインドのような発展途上国にいずれ世界をリードされていくという未来は
避けれないと思うのですが、そうなると……日本やアメリカに残される文化って何になるのでしょう。

ということで、昨日、面白いセミナーに行ってきました。

―――――――――――――――――――――――――――
【テーマ】日本文化とモノづくり
世界をアッと驚かせるメイド・バイ・ジャパンのモノづくりコンセプトの設計方法

【講師】川口 盛之助 氏
(アーサー・D・リトル・ジャパン株式会社 アソシエート・ディレクター )
―――――――――――――――――――――――――――

TEDでも、講演されていましたね。

彼の主張は、日本のサブカルチャーのモノづくりが日本を救うと。内容はここでは説明できませんが、概要だけ。

・アメリカ人=徹底的にロジカルシンキング、モノづくりはやらない
 ドイツ人 =質実剛健で、面白い企画には興味が無い
 日本人  =アメリカ人とドイツ人の両方良いところを持っている平均的国民

・日本の文化とは、道具に魂を込める擬人化文化
 物に愛情を込め、名前を付け、魂を込める
 使い終わった道具も、単に捨てるのではなく、供養をする文化

・寸止め文化
 完全に音のしないレクサスを開発したが、
 面白くないのでエキゾーストノートだけ聞こえるようにした。完璧は求めない
 完全自動化したカレーパックよりも、作る喜びを残したカレーのルーの開発

・はにかみ文化
 加齢臭を防ぐガム、脇の下の汗を防ぐスプレー
 トイレの音をかき消すオトヒメ
 (特にエピソードとして面白かったのが、
 当初、アメリカのトイレに付けてもアメリカ人は誰もオトヒメを使わなかったが、
 アメリカに滞在する日本人が使っていたところ、アメリカ人の女性も、
 トイレで音が聞こえるのが恥ずかしいということに気づき、
 アメリカ人でも使うようになったという話でした。)

要するに、日本人の感性で作った、人間が本来持っている繊細な感性がシーズとなり、
世界中の人に受け入れられるということです。

どこでも走れるハマーのH2やガソリンをばらまくアメリカの車のような強い・デカイ・という欧米的な感覚の商品開発から、弱いものを救う的な日本人の感性からの商品開発が必要だと語ってました。

興味深いですね。

話はダイソンに戻りますが、ダイソンはみなさんもよく知っているかと思いますが、
「吸引力の変わらないただ一つの掃除機」で有名な会社ですよね。

また、それだけでなく、最近は羽根の無い扇風機を発売しました。
子供のいる我が家では羽根が無いことはとても重要で、節電の折、
エアコンに変わる扇風機としての選択肢はダイソンしかありませんでした。

ダイソンは、製品を開発するときは、まずは日本を意識するそうです。
そう。日本人が一番製品に対して、
大きさや重さ、消費電力など細やかな部分を気にしているから。

「日本の利用者に納得してもらえれば、他の国でもよく売れる」と。嬉しいですね。

今日も一つ、日本が世界で生きていくためのヒントを得ることができました。

2011.09.02 Masaru Tange(丹下 大)

※「大の視点」とは、SHIFTの代表取締役社長である丹下 大が
 当時SHIFTメンバーに向けて送ったメールを一部社外公開向けに再編集したものです

この記事をかいた人はこちら