2025年、SHIFTはグループ全社で、障がい者雇用の法定雇用率を達成。そのプロジェクトの舵とりをしたのが、障がい者雇用を専任で担うビジネスサポート部です。
文化や規模がそれぞれ異なるグループ会社に対して、どのように障がい者雇用を推進していったのか。戦略や取り組み、SHIFTグループが目指す社会について、このプロジェクトを主導した、グループ長の大泉と、実務を担った一條に聞きました。

(左:一條、右:グループ長 大泉)
成し遂げなくてはならなかった、グループ全社の法定雇用率達成(大泉)
「才能と能力を活かしてみんなが活躍できる社会の実現」。大きなミッションを掲げ、ビジネスサポート部は障がい者雇用領域で第一想起される組織を目指してきました。そのなかで、グループ全社における「障がい者の法定雇用率達成」は成し遂げなくてはならないものの一つだったのです。
FY2024、グループ会社の障がい者雇用をサポートし、たしかな実績を残すことができました。その実績をもとに、普通なら数年かかかるところを、約1年でグループ全社の法定雇用率を達成する。非常にチャレンジングな方針を定めました。
当時、障がい者雇用の必要があるグループ会社は27社*。ゼロからすべてをスタートさせなくてはならない企業もあり、数の多さに躊躇したのは事実です。達成までの道のりを知る人からすれば、無茶な目標だと笑われるかもしれません。それでも、目標として決めた以上はやり切ろうと決意したことを、いまでもしっかり覚えています。
*2025年6月1日時点、従業員40人以上の会社が対象
とことん伴走することで、グループ会社の障がい者雇用をサポート(大泉)
「障がい者の法定雇用率を達成する」といっても、グループ会社の方々は、当然はじめてのことも多く戸惑ったはずです。だからこそ、私たちが大切にしたのは「伴走」。グループ会社の不安や疑問、そして実務においてもとことん寄り添うようにしました。しっかりと伴走するためにも、最初に取り組んだのは、SHIFT社内の体制構築です。 グループ会社を的確にサポートするうえで、まずは自分たちの頭のなかにある知識や情報を具現化するべきだと考えました。
SHIFTの強みは業務標準化です。この強みを活かして、採用活動や合理的配慮、メンタルヘルスなど、ビジネスサポート部の仕組みや取り組みを可視化。4つのプロセスと80項目以上の要素に分解、マニュアル化し、グループ会社の担当者が、障がい者雇用について不明点があれば、すぐ情報へアクセスできる環境を整えました。
たとえば、求人票の公開ひとつとっても、はじめてだと何から手をつけてよいかわかりません。そういったときに、採用ペルソナの設定、エージェントの選定、求人票の作成など、必要な業務ごとに手順がわかる状態にしたんです。
つづいて、障がい者雇用の必要があるグループ会社27社にヒアリング。各社の状況ごとにフェーズわけし、それぞれの課題を明らかにすることで、体系的なステップで雇用を推進していきました。各社との打ち合わせや実務は、一條を中心とした各メンバーが担当。それは、未来を見こしてのこと。一條を中心とした各メンバーには、これから先も強い意志をもち、障がい者雇用を強力に推し進められる人材になってほしいと考え、重要な役目を託しました。
日本社会では、人手不足が叫ばれている一方で、半数以上の企業が障がい者の法定雇用率を達成できていません。情報通信業においては、達成している企業が全体の3割にも満たないという話もあります。このような状況のなかで、SHIFTグループの障がいのある従業員が活躍し、利益や成果を世の中に示すことができたら、障がい者雇用の考え方は変わることでしょう。そのためにも、ビジネスサポート部が掲げる「才能と能力を活かしてみんなが活躍できる社会の実現」を目指し、これからも一歩一歩前進していきたいと思っています。
法定雇用率達成へ。それは、障がい者雇用のリアルを知ることだった(一條)
グループ全社における、障がい者の法定雇用率達成。大きな目標であり、乗りこえるべき壁がたくさんあると覚悟して、このプロジェクトに臨みました。
グループ会社の障がい者雇用を進めるために、「理解浸透」「準備・求人作成サポート」「採用活動サポート」「内定承諾・定着サポート」という4つのステップを設けて支援を実施。そのなかで、特に時間を要したのが「理解浸透」でした。
一言でグループ会社といっても、従業員数50名から1,000名まで、企業規模も文化もさまざま。SHIFTグループの障がい者雇用の方針や価値をどう理解してもらうか。各社で考え方も課題感も違うため、その説明は簡単なことではありませんでした。
しかし、「理解浸透」は障がい者雇用を行ううえで、何よりも重要なこと。雇用の利点、そして、現実的な問題についても、各グループ会社の経営陣へ丁寧に説明を繰り返しました。
各社の状況を考慮しながらコミュニケーションを行っていった結果、無事に全社の理解を得ることができましたが、「理解浸透」の鍵となったのは、各社のニーズの把握。たとえば、マネジメントの工数を不安視している場合は、SHIFTがそのサポートを担う提案もしました。
各社の課題としっかり向き合うことで、表面的でなく、障がい者雇用に課題をもつ企業のリアルな懸念やニーズを把握できるようになったと思います。
世の中を少しでも変えるために、ここで得たナレッジをもっと社会へ(一條)
「準備・求人作成サポート」「採用活動サポート」「内定承諾・定着サポート」においては、それぞれ担当チームを設けて連携し、一つひとつ課題をクリアしながら、現在も伴走をつづけています。グループ各社の担当者とも関係を築くなかで、あることに気づきました。
グループ会社には障がい者雇用の専任部署がありません。担当者は管理部門や人事部門、営業部門など、会社によって所属が異なります。みなさん担う役割が異なり、相談できる相手が社内にはほとんどいないのです。
そこで、「障がい者雇用を通じて事業成長(ブースト)を!」というビジョンを掲げ、担当者向けに「BBU(ビジネスブーストユニット)」を始動。会社をこえて繋がりを創出し、たとえ担当者が一人でも障がい者雇用を推進できると自信をもってもらえるよう運営しています。
今回のプロジェクトを通じて、グループ全社で法定雇用率を達成できたことはもちろんですが、さまざまなノウハウを得て、SHIFTの障がい者雇用も、そして私自身も大きくレベルアップできました。
これまでのキャリアのなかで、さまざまな障がいのある方や企業と向き合ってきましたが、辿り着いた理想とする姿があります。それは、福祉側にもビジネス側にも偏らない中庸な存在であるということ。
バランスのよい人材であれば、障がいのある方、企業、両者にとって適切な状態をつくれる。そして、広い視野をもちながら障がい者雇用に取り組むことで、世の中を少しでも変えていけると信じています。
この理想を胸に、あらゆるグループ会社と関わり、培ったナレッジを還元できるよう、SHIFTのビジネスサポート部の一人として、より広く社会に向けて活動していきたいです。

