大の視点/SHIFTの世界進出 in Vietnam

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SHIFTのみなさん

丹下@Vietnamです。

今、ソフトウェアテストサービスは盛り上がりを見せておりますが、
僕が以前からやりたかった、海外で開発したものの受け入れテストを日本で行い、
「安価でも品質が良いものを世界に出荷する」という構想の第一弾がいよいよ始まります。

まずは、ベトナム。お客様のベトナム拠点で開発したものに対してSHIFTが
テスト設計+お客様のベトナム拠点でテスト実行という体制でテストを行います。

そのために、今、
ベトナムに出張に来ています。

世界進出の第一弾。みなさん、英語は話せるようにしましょうね。

さて、実際のテスト in Vietnamですが、現在は計3名のチームで実施しています。
リーダーを担当いただいている方は日本語ができるのですが、
テスターの2名は日本語ができません。英語も、若干怪しい。

しかし、テスト対象のシステムを使いこなし、CAT上でテストをしてくれています。
心配だったコミュニケーションも、Webカメラとデスクトップ共有機能により
まったくストレスなくできるので、距離は問題ないなと思いました。

テストも、テストケースの粒度次第で進みやすさが違うので、
そこも日本人とベトナム人と、人種は関係ないなと。

さて、話は変わり、一般情勢を。

ベトナムの時差は日本と2時間違いです。人口は8,600万人。
国土は、日本の80%くらいで南北に2,000kmほどに距離のある細長い国ですが、
北の端に首都のハノイがあり、僕が滞在しているホーチミンは南の端です。

ホーチミンは日本でいうと大阪のような、第二都市にあたる都市です。
1859年にフランスに植民地化され、アジアの小パリと言われるほど市街地は綺麗で、
ハノイが360万人という人口であるのに比べ、なんとホーチミンは800万人。
商業と経済の中心地になっています。

ホーチミンとハノイは、南北鉄道で結ばれており、ディーゼル汽車で、30時間です。
5,000円ほどで移動できるようです。っていうか、ほとんど移動しないんですけどね。

毎年GDPは10%ほど伸びており、2007年からバブルが続いています。
給与平均も3年前から30%以上も上昇しており、このままいくと10万円/月となり、
中国の地方都市とあまり変わらないレベルになるという懸念があります。

気になる人材ですが、ベトナムで大学進学するのは数%程度なのですが、
ホーチミン工科大学という国立大学が一番有名で、統一国家試験を受けて
一番成績が良い人がホーチミン工科大学に行けるようです。
(日本でいうと、東京工業大学みたいな感じです)

募集媒体は新聞。
日本語みたいにひらがな・カタカナ・漢字といった複雑さはないので、
識字率も90%以上と高く、結構新聞を見ているようです。

通年採用なので、新聞に広告を掲載すると結構応募があるようなのですが、
ITエンジニアは不足しているので、採用はかなり大変らしいです。

また、ベトナムは不動産バブルで、ホーチミン市内ではオフィス賃料が坪2~3万円です。
これは、日本でいうところの東京の青山並みに高いです。
停電も起きやすいので、UPSは必須です。電気代も月3~5万円ほどです。
数年前は、アジアで香港に次いで2番目に不動産が高かったようです。

今までは、日本の企業が多くベトナムに進出していたのですが、
リーマンショック以降、日本の企業はあまり仕事を出さなくなり、
ここ数年でベトナムにおける日本語ニーズは少なくなり、
今は対中国&台湾が主な取引先になって稼いでいるようです。

僕は、ここでも日本の将来が危ないと感じました。

また、昨日の夜は、ある会社の社長さん(ベトナム人)と会食しました。
日本にも1970年くらいから10年ほどいたようで、ほとんど日本人みたいな人です。
食事をご馳走になったのですが、
ベトナム人や日本人の若い世代があまり気力が無いということを危惧されていました。

また、税収の8割以上を外資系企業にゆだねているがゆえに税金収入が少なく、
公務員の給与が安くなり、国のために働く人が減り、国が繁栄しないと言っていました。

ベトナムも今よりもっとリテラシーが高くなっていくと、
優秀な人材は国に残らず海外で稼ぎ始めるので税金が国に落ちず、
外資系企業頼みが抜けられない。

だから、ベトナムは今後国としての魅力を出して外資系企業を誘致しながら外貨を稼ぎ、
そのお金でナショナルブランドを作って、国を発展させていかないといけないんですね。

そんな、他の国のことが心配になった昨晩でした。

同時に、世界で法人税がもっとも高い日本は幸せなのか?とも思いました。
給与水準も世界でもっとも高く、電気・水道・IT・交通のインフラが整っていて、
安心・安全な国としての日本はやはり住むには一番。

でもそれを維持できるのは、税金あってのことですよね。

人口が急激に減り内需が減る日本はこれから海外で稼がないといけないのですが、
今までの日本の給与水準を維持できるほど稼げる国はなく、移民を受け入れ、
労働人口と購買人口を増やしていかないといけないと僕は思ってます。

僕がもし仮に出馬して政治家になったとしたら、日本の営業マンとして
世界中から原子力や鉄道・ITサービスの案件をとってきて、
国民の給与を増やします。ただし、安い労働力も必要なので、移民を増やし、
彼らにも消費してもらいながら、外需と内需をバランスよく育て、
増やした税収で、セキュリティと人種差別の配慮にお金を投資します。

それが可能になるとどこの国でも安心・安全な国家運営ができる仕組みになり、
世界平和に貢献できるのでは、と。そんな妄想を描いたベトナム出張でした。

2010.07.01 Masaru Tange(丹下 大)

※「大の視点」とは、SHIFTの代表取締役社長である丹下 大が
 当時SHIFTメンバーに向けて送ったメールを一部社外公開向けに再編集したものです

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